パイナップルの村で

タンザニアは果物の大産地なのに、加工工場が少ない。ドライフルーツもインド系企業の大規模工場が1つあるだけで、あとは小さな工場だけです。
 
タンザニアのパイナップル生産量(2021年)は、世界19位で37万トン。18位で40万トンの台湾には、様々な加工工場があるのに…なぜなのでしょう。
 
かつて果物加工が注目された時期もあったらしい。その頃に建てられた工場は倒産し、立派な工場や設備が虚しく放置されています。
 
事業が失敗する理由は山ほどあるので、実際の理由はわかりません。でも、これらの工場の廃墟を見ていると、思うことが1つあります。
 
こんなに原料を調達するのは大変だろうな…ということです。
 
隣国ケニアの場合、パイナップルの生産量(2021年)は28万トンしかなくて、タンザニアより少ないですが、デルモンテの缶詰工場が経営されています。
 
その原料調達を担うのは、大規模プランテーションです。パイナップルは人力と機械をうまく組み合わせて収穫され、非常に能率的です。
 
タンザニアの場合、あちこちに散在する小規模農家が栽培しています。パイナップル1トンを調達するために3-4人の農家と交渉して、果実を選んで収穫し、集荷する必要があります。
 
私達のドドマ工場の場合、あらかじめ原料調達担当が先に産地に入って、農家と交渉して収穫し、軒下や大樹の根元などに集めたパイナップルを、後からトラックがきて集荷していきます。
 
つまり日本なら農協がする役割を、加工工場が自分でする必要があって、原料調達にとても手間がかかるのです。さらにバイヤー間の競争も激しく、買い負けすることもあります。
 
だから、工場の廃墟に原料調達用の4トン車がズラリと並んでいると「こんなに調達するのは大変だろうな…」と思ってしまうのでした。
 
散在する小規模農家から、一定の品質をクリアした農産物を、効果的に調達する工夫、他国で成功例はないものか…どなたか知っていたら教えてください。


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