この程度は失敗ではない?

昨年はタマユタカを16t収穫したので、
今年は20tを目標にしていたというのに、
なんと0.2tしか収穫できませんでした!


20t収穫して干しいもを作り、
海上コンテナで輸出する計画だったのに…
今年の実現は見送りです。

2023年7月に収穫したタンザニア産のタマユタカ
失敗の要因を農家に聞くと「水不足」と答えます。
しかし産地に水がないわけではありません。
タマユタカが収穫できなかった村でも、
換金作物の玉葱畑は灌漑されて青々と育っていました。


今年タマユタカを出荷できたのは組合長と、もう1軒だけ。
弊社はこれまで何度も通い、7月16日はトラックも出したのに
収穫できたのは、わずか180㎏。

干しいも用に契約栽培したタマユタカ2023年
やや自嘲的に組合長に「来年は玉葱やりますかね?」
と言ってみました。


するといつも笑顔の組合長が、少し真顔になって
「たしかに玉葱は芋の4倍儲かるけどね」
と話し始めてから
「…でも農業資材にお金がかかるのよ」と続けました。


その点タマユタカは定植したら、あとは除草だけ。
農薬や肥料にお金を使わなくても収穫できる!
実は組合長も、いくらか玉葱を栽培しているけど、
やはり来年もタマユタカの契約栽培を続けたいらしい。

タンザニア産タマネギの栽培
一見、青々と茂っている玉葱も農薬散布が遅れると、
ダニのような虫が発生して収量が落ちるのだとか。
確かに玉葱の葉の付け根には、それらしき虫がいました。
他人の畑は青く見える…というやつかもしれません。


それに農薬散布の健康リスクも心配だという。
確かにマスクも手袋もせずに散布するから、
吸い込んだり肌についたり、目が痛くなったりするらしい。
その点タマユタカは、そういう苦労がなくていいという。


それにしても…私が最も感心してしまうのは、
今年はほとんど収穫できなかったことが
組合長にとって、それほどの失敗とは思ってないこと!
彼だけでなく、周辺の農家も別に失敗だと思ってない。

来年のたまゆたかの定植のためにツルを持って帰る女性
その証拠に「今年はダメだったねー」と言いながら
収穫している組合長の畑には、
「来年は俺もタマユタカ植えたいッス!」とかいって、
畑に残った茎葉を育苗のために貰いにくる農家が、
後から後から大勢きていました。


「この程度は失敗ではない、来年もやろう!」
というメンタリティはありがたいのだけど、
来年は何かを改善しようという気持ちも、
多少は必要じゃないかな…と内心思う。


しかし南緯6度の強い日光と青空の下、
ひたすら楽観的で明るい人々の中にいると、
日本人的なそういう思考が本当に正しいのか、
よくわからなくなってくるのでした。


追伸:
これを書いている今は、
商談会のために日本に帰国しているので、
来年は何かを改善しようと思っています。



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