今年も小芋に泣かされた

タマユタカの契約栽培を30トンに増やした今年、
予想通りSサイズの小芋に泣かされました。
取扱量の全体では6-7割が小芋という印象です。
なかには8割が小芋という契約農家もありました。
 
唯一の希望は、組合長の小芋の割合が減ってきたこと。
肥沃や養分の多い地力のある畑で、畝を大きめに作り、
充分な株間を保って、水分のある適期に定植すれば、
小芋は2-3割程度にまで減らせるようです。
 
契約農家が収穫したタマユタカを計量しているところ(2024年7月)
 
今年、私は小芋でも丸干しにすれば輸出できると考えて、
見切り発車で「今年はSサイズも買う!」と宣言しました。
しかしプレハブ冷凍庫の導入も、糖化庫の改造も間に合わず、
結果的にたくさんの小芋を廃棄せざるを得ませんでした。
 
実は、小芋は早く糖化するかわりに傷むのも早いのです。
さらに洗うのにも皮を剥くのにも人件費と時間がかかります。
私は30トンの6割という量を甘く見ており、
結果的に18トンもの小芋を加工しきれませんでした。
 
育苗から1年かけてタマユタカを育て、
収穫期には村に泊まり込んで買付けしていたハミシが、
めずらしく不機嫌に黙って傷んだ小芋を廃棄している背中に、
つくづく申し訳ないと心の中で謝りました。
 
イモケンピの「生地」にするために皮をむいた小芋(2024年8月)
 
10年前、この事業を始めたときから予想していたことです。
干しいもにできる芋は、M~LLの芋だけなので、
選外の芋でも作れる、しかもヒット商品が必要なのです。
 
今のところ私たちが小芋から作れるのは、丸干しの干しいも、
そして芋が新しいうちに作れるイモケンピだけです、
両者それなりに売れますが、ヒット商品とまでは言えない。
 
収穫したての小芋は皮も柔らかく、芋肌もキレイなので、
粗く皮を剥いて角切りにして油で揚げて「生地」にします。
後にこれをもう一度揚げて、
さらに糖衣をかけてイモケンピに仕上げます。
 
角切りにした小芋を揚げて「生地」をつくる(2024年8月)
 
プレハブ冷凍庫を導入したらこの「生地」を冷凍保管できる。
だから小芋をもっと有効に商品化していくこともできる。
しかし、それでも18トンは加工できない。
だからもっと別の例えば「さつまりこ」みたいな、
すごいヒット商品を開発したい。
 
それに加えて畑の地力を回復させながら、
タマユタカの契約栽培を続けられるように、
輪作型の作付け体型を農家に取り入れてもらい、
株間を広げて小芋を減らしていく努力も続けます。
 
大切なことは、小芋から作っても、
とびきり美味しい商品を開発すること。
小売店から催促がくるくらいのヒット商品にすること。
そして輪作体系の中に組み込む作物についても、
安定的な販売先が担保できるものを選ぶこと。
 
これらの条件をクリアしないと農家は輪作してくれないし、
私たちも農家に自信を持って勧められない。
しかし、そんなことができるのは、
農家から原料を買う食品製造業だけなのです。
食品製造業こそ、農業開発の鍵を握っている。
その信念に微塵の揺らぎもありません。
私たちはこれからも
小芋をつかった商品開発を進め、
輪作体系に組み込める良い換金作物を模索し、
この難問を解決していきます。
素揚げして「生地」になった状態(2024年8月)
 



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